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大阪高等裁判所 昭和25年(う)2551号 判決 1950年9月09日

被告人

李運基

主文

本件控訴は之を棄却する。

当審の未決勾留日数中六十日を本刑に算入する。

理由

弁護人渡部繁太郎の控訴理由第一点について。

弁護人は原審は第二回公判で裁判官の更迭があり、公判手続を更新したが、原審第二回公判調書によれば、検察官が起訴状を朗読した旨の記載がないから、原審公判は起訴状の朗読なくして行われた違法の訴訟手続であると主張するので、原審第二回公判調書を調査するに、同公判で裁判官の更迭があり、公判手続を更新した事実、及び起訴状朗読の有つた旨の記載のない事実は、所論の通りであるが、同公判の経過をみるに、裁判官は先ず人定尋問をなし、次で刑事訴訟法第二百九十一条第二項及び刑事訴訟規則第百九十七条第一項に記載する事項を告げた上、被告人及び弁護人に対し被告事件につき陳述することがあるかどうかを尋ねており、被告人及び弁護人は事実その通りである旨答えているのである。従つてこの記載によつて、その直前に検事が起訴状を朗読したものであることが確認できる調書の記載によつて当然に推認できる事項は、その事項のあつたことを調書によつて証明し得ることになるのであるから論旨は理由のないものと認める。

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